2010年2月7日日曜日

日本と日本のイルカの行く末 2 <ザ・コーブ>

イルカは集団で行動する優秀な海洋哺乳類と言われており、野生の生き物の中で唯一人間を助けるとも言われる動物です。

試しに日本語で「The Cove」を検索してみると、あちこちのウェブサイトでこの問題に関するいろいろな意見が飛び交っていました。その中で一番多い意見は「野生のイルカを殺して食べてはダメで、牛や豚など家畜は殺して食べても許されるのか」というものでした。

私の意見は、かわいそうですが家畜はあくまでも家畜で、食肉になるために人間によって生産され飼育されるもの。しかしイルカは家畜ではなく、養殖されることもなく自由に海の中で生きる生き物です。牛・豚・鶏には気の毒ですが、海の中を自由に泳ぎ回るイルカと彼らを同じレベルで比較するのは根本的に無理があるような気がするのです。

日本語のサイトをいろいろ読んで気になったのは、「欧米人に日本文化についてとやかく言われる筋合いはない」というプライドと感情的な部分が先立ってしまい、この問題の核心が見失われてしまっているのではないか、という点でした。そして日本には「プロテスト」という考え方があまり浸透していないため、外国人によるこのような行為を「バッシング」と受け止めてしまう傾向があるように思えます。

アメリカでは国内のジャーナリストやフィルムメーカーがいろいろな業界を取り巻く問題を調査し、人々に疑問を投げかけるドキュメンタリーや映画を作り自国批判をどんどんしています。数を挙げればきりがありませんが、日本で最も知られているのはマイケル・ムーア監督の映画ではないでしょうか。彼のメッセージが正論かどうかというのは個々の受け取り方であり、重要なのはその問題について人々が考えることではないかと思うのです。

「欧米人の価値観の押しつけだ」という意見もかなり目にしましたが、しつこいようですが、私の知っている限りアメリカやイギリスは自国批判をかなりしています。

『Food Inc.』(2009年米国)というアメリカの畜産業の実態を暴いたドキュメンタリー映画では、アメリカの大手食品メーカーによって支配された養豚場での残虐な屠殺シーンをしっかり見せています。大量の豚が1つの部屋に集められ、悲鳴を上げながら動く壁に押しつぶされて死んで行くシーンを見ると、肉を食べるのは罪ではないかと一瞬思ってしまう程です。しかし私はベジタリアンではありませんし、他人に肉を食べるなと強要もしません。でも、肉を断てない自分にできることは何かと考え、極力大手メーカーの肉は裂け、信念を持って家畜を育てる畜産家の肉を購入するようにしています。

日本人は批判を嫌がる民族の1つと言われていますが、プロテストと批判を混同しないよう注意する必要があるのではないかと思います。これは捕鯨問題とも若干違う気がするのです。

次のポストでは、イルカ肉の危険性の角度からこの問題を考えたいと思います。

2 件のコメント:

  1. コメント入れていたら次のブログが入っていた(笑)。確かに、野生か家畜かって違いは大きいかもね・・。そうそう野生ということを読んでいたら野性のカンガルー肉のことも思い出してしまった。こっちは大量繁殖を理由に殺されて食肉になっているみたいだけどこっちもオーストラリア外からは批判が多いみたいだよね(人間様の勝手な理由といえば理由だからね・・・)。オーストラリア国内の人は半数くらいの人が食べたことあるみたい。それにしても、前のブログでイルカ肉を鯨肉と書いて売っていることもあるというのにはちょっと驚いた。イルカ肉って書いたらやっぱりちょっと一般人だと引くからというのはわかるけど偽記載とはね・・・。鯨肉と思って知らないでイルカ肉を食べてしまっている人も多いのかな・・・。

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  2. イルカと鯨の区別はサイズで決めるようで、実はその境界は曖昧でもあるみたい。でも、映画で見る限り売られているのは「イルカ肉」。消費者はこの事実を知るべきだよね。

    カンガルーの大量繁殖については、私達はカンガルーはかわいいと思うけど、一部のオーストラリア人にとっては害なんだって。あちこちに糞をしたり庭の野菜を食べたり。アメリカの鹿みたい。

    でも、イルカは無害だよね。

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