2019年3月15日金曜日

『Dior: From Paris to the World』デンバー美術館

                          Denver Art Museum 

残りわずかとなりましたが、3月17日までデンバー美術館でディオール展が開催されています。

アメリカ初のディオール回顧展となる同展は、世界各地を巡回してきたものではなく、昨年パリで開催されたディオール創業70周年を記念するエキジビションをもとに、デンバー美術館によって独自に構成された展覧会です。

「サンローランと比べてどう?」という話に何度かなりましたが、2012年のサンローラン回顧展はどちらかというと彼の人間性が印象に残った展覧会で、それに対してディオール展はオートクチュールの華やかさに魅了されるものだったと、私は個人的に思っています。

同展は、ハウス・オブ・ディオールの70年の歴史を解説しながら、彼自身と6人の後継者のディオールブランドとしてのヴィジョンを追う流れになっています。200点以上にのぼるクチュール、アクセサリー、ジュエリー、スケッチ、アート、ランウェイビデオ、写真は見応えがあります。

ちなみに空間は、NYベースの建設設計事務所OMAの重松象平氏によるデザインです。

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会場に入ると、まずは1947年にディオールのデビューと共に発表された「ニュールック」コレクションが整然と並んでいます。ゆったりなだらかな肩、細く絞ったウエスト、フレアスカートが特徴の「ニュールック」は女性の美しさを引き出すデザインで、発表された後に世界的なセンセーションを巻き起こし、女性の圧倒的な支持を得たそうです。

クリスチャン・ディオールは42歳で初めてコレクションを発表し10年後に心臓発作で急逝しているので、実は彼自身のファッションハウス時代は短く、その直後の後継者は当時21歳で彼の下で経験を積んでいたイヴ・サンローランでした。

時代を感じさせないデザイン"New Look"
特に靴との組み合わせは写真に撮っておいて
後で参考にしようと思ったほど


そして、イヴ・サンローラン(1958-1960)の展示に続きます。サンローランらしいエレガントなドレスが並びます。



しばらく進むと真っ白な空間が・・・写真の撮り方がイマイチでスケールが全く伝わってこないのが残念。

"Offie of Dreams"
トワール=デザイナーが立体裁断で作る衣服の原型


初めて見るトワールにしばらく見入った後は、グレース・ケリー、マレーネ・ディートリッヒをはじめとする有名人やファッション アイコンが着用したドレスの展示です。

"Ladies in Dior"


そして、そこを抜けるとこんな空間が!ここは「トータルルック」のセクション。女性のファッションを、アクセサリーや香水を含め『頭からつま先まで』ディオールでコーディネイトする、というムッシュ・ディオールのビジョンが美しく色別に飾られた壁は圧巻でした。

"The Total Look"
カリーナにも見せてあげたかったです


ここからしばらくは、絵画とドレスがセットで展示されています。最初はマルク・ボアン(1961-1989)が画家のジャクソン・ポロックの絵にインスパイアされたドレス。

Marc Bohan X Jackson Pollock 

次はジャンフランコ・フェレ(1989-1996)とイタリア絵画を並べた展示。




そして次はロココ・ルーム。18世紀のフランスの華麗な世界が広がります。ジョン・ガリアーノ(1997-2011)のデザインが目を引きます。

"The Splendors of the 18th Century"
子供の頃に憧れたドレスそのものです
マリー・アントワネットドレスをよく見ると・・・
ギロチンを連想させる
流れる血が刺繍されています


次は多分私が最も時間を費やした場所、花とガーデニングの部屋です。ここで一緒に回っていた友人と完全にはぐれてしまいました。ディオールは幼少期に母からガーデニングへの情熱を受け継ぎ、花にインスパイアされたデザイナーだったそうで、ここにはモネとルノアールの絵画が飾られていました。

"Fields of Flowers"
"The Impressionist Gardening Room"
細かい装飾にため息


再びジョン・ガリアーノの展示。ここには彼がインスピレーションを得た旅に纏わるアート作品なども展示されていました。



6人目のアーティスティック・クリエーターはラフ・シモンズ(2012-2015)。 ランウェイビデオをしばらく見ましたが、この人のデザインはもっとモダンでリアリスティックな感じで(←これならパーティーに着ていける洋服かも?) 「 ディオールは一体どういう基準でクリエーターを選ぶのだろう?」という疑問が浮上。



そして最後のデザイナーは、ディオール初の女性アーティスティック・ディレクターであるマリア・グラツィア・キウリ(2016-現在)。ここでまた感じがガラリと変わります。



この間に撮影禁止になっていた部屋が一つありました。ディオールを纏ったモデル達のアーティスティックな写真などが展示されている部屋だったのですが、1990年代にOLだった頃によく眺めていたマリ・クレール日本版を思い出し、懐かしくなりました。後で調べて見たら、あの雑誌は10年前に廃刊になってしまったのですね。


そして最後の部屋は、これもこの写真からはスケールが全く伝わってきませんが、Dior: From Paris to the Worldの集大成のオートクチュールコレクションの部屋で、色々な文化からインスピレーションを得た豪華なドレスが飾られており、正に様々な文化が入り混じった空間でした。


私の中での締めくくりは、東京コレクションに登場したというこの桜のドレス。日本と日本人の心を表現してくれた美しい作品だなと思いました。



オートクチュールの世界に浸りながら、 それまで自分の中にあった芸術とファッションの境界線の認識が変わったなと思っていたのですが、このブログを書くためにいくつかウェブサイトに目を通した際に、この展覧会についてのデンバー美術館のディレクターが書いた"This exhibition will encourage audiences to think differently about the boundaries of fashion as art..." という一文を見つけました。この展覧会の目的は、 観る人々にしっかり伝わっているのではないかと思いました。

現実からしばし逃避した感覚に浸りながら、展覧会を後にしました。サンローラン回顧展に続き、デンバー美術館に再度喝采を送りたいと思います。


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