先日、カリーナが生まれて以来初めてデンバー美術館へ行ってきました。『イヴ・サンローラン回顧展』を見に行くためです。この回顧展は、パリ、マドリード、デンバーの3都市のみでの展示ということで、3月に始まる前からずっと見に行きたいと思っていました。
イヴ・サンローラン(以下YSL)に関しては、私はそれほど詳しくは知らなかったのですが、200点に及ぶオートクチュール・コレクション、写真、ドローイング、フィルムを通じて彼の才能と人柄が見えてきました。会場を後にする頃には数々の美しいデザインに魅了され、そして彼の人間性に惹かれるようになっていました。
YSLは女性にとっての着心地をとても重視したデザイナーで、1967年に女性に初めてパンツスーツをもたらしました。彼はそれに関して「女性をイブニングドレスから解放した」と表現したそうです。ファッションショーで有色人種のモデルを初めて起用したのも彼の業績の1つです。
並んでいたコレクションの中には「これは最近のデザインかな?」と思うような、ジャケットとショートパンツのコンビネーションなどがあり、年代を見ると1960年代後半の作品。今でもそのまま着られるような現代的なスタイルもたくさんあり驚きました。
彼の顧客であったカトリーヌ・ドヌーヴ、パロマ・ピカソ、グレース・ケリー、ロスチャイルド男爵夫人など、世界中の有名な女性が着たドレスのコレクションの展示エリアは、横で流れるフィルムに思わず2周見入ってしまうほど美しかったです。
久しぶりに1人自由になれる時間をこんな風に過ごし、しかも世界で3都市のみという貴重な展示会を見られてとても満足した気持ちで美術館を去りました。後で知ったのですが、オートクチュールの作品は繊細なため、多くの場所に持ち運べないそうです。そんな展示会を招致したデンバーのキュレーターに喝采を送りたいと思います。