2021年5月10日月曜日

新型コロナワクチン2回目を受けました→そして予想通りその晩に発熱→接種後1日半で嘘のように症状が引きました

アメリカは、去年コロナ対策で大失敗をしましたが、軌道修正をするのが驚くほど速いことには感心します。

「これだけは、トランプ元大統領がやったことで唯一有り難かったこと」と囁かれている通り、政府がワクチン開発に大きな予算を投じてくれたお陰で、12月から始まったロールアウトと言われるワクチン運用は、予想以上に敏速に進んでいます。

◎接種計画がどんどん前倒し

12月14日に医療・介護施設従事者からスタートした予防接種ですが、コロラドでは3月と言われていた教育関係者が1ヶ月程度も前倒しになり、カリーナの学校の先生たちも2月中に接種を受けて一安心。一方、高齢者への接種も早いうちから並行して行われており、ケヴィンの両親も2月までには2回目の接種を無事に終えていました。

70歳〜74歳、65歳〜69歳という具合に順番に降りてきた対象者が3月に入って60歳以上となり、当初「夏までに私の順番も回ってくるといいな」と思っていたところが、3月19日から私も接種対象者の枠に入りました。2ヶ所に名前を登録していましたが、「まあ4月に入ればどこかからは連絡が来るだろう」と気長に構えていたところ、4月1日から16歳以上が全員対象になると聞いて、競争相手が増える前にさっさと予約をした方がいいのではないかと焦り、ネットを駆使してなんとか地元の病院での予約を取ることができました。

書類なしでこの上なくスムーズ

接種会場の手際の良さは噂に聞いていましたが、実際に感動的な効率の良さでした。

ネットで予約後、事前に個人情報を始め、診断フォームや誓約書にサインもオンライン上でしてしまうので、会場についた時には保険会社のカードと身分証明書を見せてチェックインして、そのままブースがずらーっと並ぶところに移動します。そこに座って簡単な説明を受けて接種。その後一定間隔に椅子が置かれた待合室に移動して、各自15分待機した後何も異常がなければ退室、という具合です。

4月に入ってすぐの1回目の時はチェックインに列ができていましたが、3週間後の2回目はかなりワクチンが普及した証拠か全く列はなく、会場に入った時は11時38分で、接種が終わって椅子に座った時は11時45分でした。

アメリカでは接種を行うのは、看護師だけでなく元医療関係者ボランティア、時には医大生までもが駆り出されているようです。そう言われてみれば、白衣を着た人がいれば、蝶ネクタイをつけたスーツ姿のおじさんもいて、出で立ちはバラバラでした。

◎気になる副反応

私の周りにも既に2回目の接種を受けた人が増えてきて、その後の副反応の話をいろいろと聞いていました。全く反応がなかった人がいれば、ケヴィンも含めて12時間ほど経過した頃から発熱があったり、関節痛があったりと、まあ言ってみればちょっとした風邪をひいた時のような症状が出てくることが多いようです。それに反して、1回目の接種に反応したという話は私の周りでは殆ど聞いていません。

私も接種翌日に寝込むことを想定して、ラッキーなことに予約が金曜日だったこともあり、週末は全く予定を入れていませんでした。当日の夜寝る前も全く普通だったので、もしかするとこのまま何の反応もなく朝を迎えるのではないかと思ったりもしましたが、結果的に夜中に寒くて何度も目が覚め、だんだん身体が痛くなるのを感じながら朝を迎えました。熱は38.2度まで上がりました。

土曜日は微熱が半日ほど続き、倦怠感もあったので夕方まで家でじっと過ごしていましたが、夜までにはすーっと症状が引き、日曜日はまるで前日に何もなかったかのように普通の自分に戻っていました。

ネットで日本のニュースを読んでいて、医療従事者から『重い副反応が出た』と証言が続出という記事があり、(厚生省から)負の情報がしっかりと伝わっていない、情報隠しだ、という批判が列挙されていましたが、冷静に考えて予防接種後に発現するある程度の副反応はごく当たり前のことで、こんなニュースを書くからワクチンに不安を覚える人が増えるのではないかと思いました。むしろごく僅かな人を除けばこの副反応は、実際にコロナウィルスにかかるよりはよっぽど楽だということを強調すべきで、恐怖心をあおるような報道はすべきではありません。

筋肉注射についても私は何の心配もないと思います。私は妊娠中から毎年インフルエンザ予防接種(アメリカでは筋肉注射)を受けており、カリーナすらも同じ筋肉注射を毎年受けています。

◎反ワクチン感情に阻まれる集団免疫

何年か前にアメリカで、2000年に根絶を宣言されたはずの麻疹が大流行したことがありました。これは反ワクチン感情やウイルスに対する誤解が広まったことが原因だったそうですが、「副作用が強すぎる」「予防効果が乏しい」「危険な成分が入っている」と言うようなことが予防接種を拒否する人々の主張のようです。

それに反して、科学コミュニティの見解や実験が示す結果は全く異なり、あらゆる統計が予防接種を支持する結果となっています。つまり、予防接種によって得られるメリットがリスクを著しく上回っているのです。

アメリカではスーパーの中にある薬局でも、普段からインフルエンザを始め何種類かの予防接種を受けられます。私の友人も実は半分程が新型コロナワクチン接種をスーパーで受けています。

自分がまだ対象者に入っていない時期に、どうしても人よりも早めに受けたかった人は、ワクチンを受ける人が少ない街の薬局まで2時間近くも車を走らせるとか、早いうちから16歳以上全員が対象になっていたテキサス(共和党が多い=反ワクチン感情の人が多いから空いていた?)に近い人たちは、わざわざ州を超えて接種に向かったという話も聞きました。

残念だと思うのが、マスクの時も民主党と共和党で意識が違って揉めましたが、今度はワクチン接種で国が分かれています。今後のチャレンジは、いかに多くの人に接種を受けてもらうかという点です。

◎実は急造ではない新型コロナウィルスワクチン

新型コロナウィルスのワクチンのスピード開発に不安を感じている方も多いと思いますが、実際のところこのワクチン開発は、設計・製造、安全性評価についても従来のワクチンと同様の段階を踏んでいるそうで、mRNAに基づくワクチンの開発方法は、実ははるか以前から提唱されていました。

今回のワクチンは、新型コロナ(Covid-19)と同様コロナウィルスが原因のサーズ(SARS-CoV・ 2002年 )やマーズ(MERS-CoV・ 2012年)で研究されていたスパイク塩基の配列に少しだけデザインを加えるという、テキサス大学のチームが発見したアイデアが用いられたそうです。このチームも、10年以上の研究の経験がありました。

なぜこのワクチンがわずか1年で開発できたというと、米国政府を始めとする各国政府の莫大なバックアップのもと、人とお金がふんだんに投入された結果だと言えます。

ファイザーのワクチンは、アメリカでは1人当たりの単価が19.5ドルというワクチンとしては破格な値段だそうで、普段なら「もっと価格を安くしろ」とか「保存方法(マイナス75℃前後)を改善しろ」という問題で、開発・承認に手間取るところが、今回はスピードが優先されたためにそれをスルーして、しかもアメリカのFDA(食料医薬品局)の承認前に大量生産を始めていました。通常であればそんなリスクは冒せませんが、この結果接種は承認の3日後から始まったという経緯があります。

◎科学を信じて収束を目指そう

天然痘は、予防接種を推進したおかげで殆ど絶滅し、その結果現在ではもうこの病気の予防接種は行われていません。このワクチンが導入された当時は「種痘を受けると牛になる」という噂が広まったのだそうです。ウシ由来のワクチンが使用されたことが発端で、日本でも江戸末期に同じような噂が流れたそうですが、もちろん牛になった人は1人もいませんでした。←牛になった人間を見てみたい!

新型コロナワクチンについても「接種を受けると遺伝子組み換え人間になる」と考えている人がいるようですが、これは先ほども述べたようにmRNAワクチンは人工的に合成されているので、遺伝子組み換えは起こっていません。実は遺伝子組み換えの技術を使ったワクチンはB型肝炎のワクチンだそうで、こちらは日本でも30年以上使われています。

新型コロナワクチンには、インフルエンザワクチンよりもはるかに高い、発症予防と重症化予防の効果があると言われています。そして最近のデータでは、感染予防の効果もあるということが示されています。

ワクチンを信じられない人に無理やり接種を受けろとは言いませんが、よくわからないままに不正確な情報を信じるより、自分で科学的な根拠がある情報をキャッチできると良いのではないかと思います。

去年8月7日にアメリカ・メイン州で行われた結婚式がスーパースプレッダーとなり、参加者5人の陽性が判明した時は既に周辺に広まっていたという事例がありました。感染拡大は式場から320km離れた矯正施設と、160km離れた介護施設にまで及んだそうです。この結婚式関連で合計177件の陽性者が確認され、7人の死者が出ました。死者の中で実際に結婚式に参加した人は1人もいなかったそうです。

そういう話を聞くと、万が一自分がこの病気になって治っても、その先にどんな人が繋がっているかわからないという恐怖を覚えます。なので、私は迷わずに新コロナワクチンを受けました。